2020年10月9日、SONY α7SIIIが発売してから、流星群を動画で撮影するようになりました。
動画はYouTubeやSNSに掲載していますが、撮影機材やカメラの設定について質問をいただく事が増えてきましたので、記事にします。
あくまで私が使っている機材や設定についての内容ですので、ご了承下さい。
スポンサードサーチ
流れ星の動画撮影機材について
メインで使用している機材は以下の通り。
カメラ
SONY α7SIII
レンズ
SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art
SIGMA 20mm F1.4 DG DN Art
SONY FE24mm F1.4 GM
SONY FE50mm F1.4 GM
SIGMA 85mm F1.4 DG DN Art
レンズはF1.4より明るいのがオススメです。F1.8でも撮影出来なくはないですが、かなり暗い映像になります。
流れ星の動画撮影設定
私がよく使うフレームレート24pを例に紹介します。真っ暗な星空での撮影を想定しています。
動画形式 XAVC S-I HD
記録フレームレート 24p
ピクチャープロファイル PP8(S-LOG3)
SS 1/25秒
絞り F1.4
ISO 256000
この設定をベースに、状況に応じてISO感度を変更しています。
ピクチャープロファイル、またはクリエイティブルックについては、お好みの設定で。
(私は映像を自分の好みにカラーグレーディングしたい為、PP8(S-LOG3)で撮影しています)
スポンサードサーチ
動画形式について
SONY α7SIIIでは、以下の動画形式があります。
XAVC HS (4K)
Long GOP圧縮方式(映像の圧縮を複数フレーム毎に行っている)。XAVC Sと比べ、同じファイル容量でも高画質で記録可能。編集時のパソコン負荷は大きい。
XAVC S (4K,HD)
Long GOP圧縮方式。汎用性の高いMPEG-4 AVC/H.264コーデックで記録するため、対応する様々な機器で鑑賞や編集が可能。XAVC S-I(Intra圧縮)に比べてファイル容量が小さいが、編集時のパソコン負荷が大きい。
XAVC S-I (4K,HD)
Intra圧縮方式(映像の圧縮を1フレーム毎に行っている)。Long GOP圧縮方式と比べ動画編集する際のパソコンへの負担が小さくなるが、ファイル容量は大きくなる。
編集作業(流れ星の切り出し)では基本的に動画を4~16倍速で再生して確認するため、パソコン負荷の少ないXAVC S-Iを選んでいます。出来るなら4Kで撮影したい所ですが、流れ星撮影は長時間の撮影が多く、ファイル容量が大きくなるため、HDを選定しています。
参考までに、私が使用しているパソコンのスペックです。XAVC S-I HD 24pの16倍速ならほぼ問題なく再生が出来ます。
ドスパラ ノートPC raytrek R5-RL5
OS Windows 11 Home
CPU Core i7-13700H
GPU GeForce RTX 4050 6GB LaptopGPU
メモリ 32GB
ストレージ 1TB Gen4 SSD
動画形式毎の撮影可能時間について
256GBのSDカードを使用した場合の、動画形式、記録フレームレート毎の撮影可能時間※です。
※空の256GB SDXCカードを差した時にモニターに表示される撮影可能時間です
XAVC S-I での撮影には、SDXCカード V90以上が必要になる場合があります。
私が使用しているSDXCカードはKingston SDXC 256GB V90で、XAVC S-I 4K 60pでも撮影出来ています。しかし、一部スローモーション撮影(120P等)では撮影が出来ず、その場合はCFexpress Type Aメモリーカード(VPG200以上)が必要です。
スポンサードサーチ
シャッタースピード、フレームレート別の流れ星
フレームレート、シャッタースピードによって流れ星の挙動が大きく変わります。シャッタースピードを遅くすれば星空を明るく撮影出来ますが、流れ星の挙動はカクついてしまいます。
フレームレート別、シャッタースピード別に流れ星の挙動を動画に纏めました。流れ星の大きさ、速さが映像によってバラバラなので、あくまで参考までに。
1秒(24p)※、1/4秒(24p)、1/15秒(24p)、1/25秒(24p)、1/30秒(30p)、1/60秒(60p)、1/125秒(撮影120p、再生60p(二倍スロー))
※SONY α7SIIIは通常の動画撮影では1/4秒までしか設定できませんが、S&Q撮影(24倍速クイックモーション)では1秒まで設定できます。この動画では編集で実時間に戻しています。
60pで撮影すればより滑らかな挙動で撮影出来ますが、シャッタースピードが早くなる分、映像が暗く、ファイル容量も大きくなります。挙動やファイル容量のバランスを考え1/25秒(24p)を使う事が多いです(真っ暗な星空だと映像は暗くなりがちですが)。月の明るい夜等は30p、60pでも余裕の明るさで撮影出来ます。
流れ星の撮影に使うレンズの焦点距離
広角であれば広く星空を撮影出来るため、流れ星も映りやすくなります。しかし、映る流れ星は小さくなります(火球など明るい流れ星は別ですが)。バランスが良いのは20~24mmあたりと考えます。また、標準、中望遠では狭い範囲しか撮影出来ず流れ星が映りづらいと思いますが、意外と細かな流れ星が映ります。
以下の動画に焦点距離別(85,50,24,20,14mm)に撮影した流れ星の映像をまとめています。こちらも流れ星の大きさ、速さが映像によってバラバラなので、あくまで参考までに。
私が良く使うのは14、20mm。理由は地上景色と星空を一緒に撮影したいからです。とくに14mmだと地上、星空を余裕で映せます。流星数が多い日は、標準、中望遠を積極的に使っています。
参考記事:SIGMA 14mm F1.4 DG DN Artを星空撮影に使用してみた感想(レビュー)
参考記事:SIGMA 20mm F1.4 DG DN Artを星空撮影に使っていて思うこと(レビュー)
参考記事:SONY FE 24mm F1.4 GMで星空撮影していて思う事(SEL24F14GM)【レビュー】
参考記事:SONY FE50mm F1.4 GMを星空撮影に使っていて思う事(レビュー/SEL50F14GM)
参考記事:SIGMA 85mm F1.4 DG DN Artを星空撮影で使用してみた(レビュー)
スポンサードサーチ
流れ星の撮影の方法
基本的には写真を撮影するのと同じ。三脚に固定して撮影。流れ星はいつ流れるか分からないので、基本的には連続録画しています。
ポータブル赤道儀等を使って星を追尾するのも良いです。
参考記事:SLIKのポタ赤、ASTRA (アストラ)ECH-630を使ってみた(レビュー)
夏場の夜でも2時間近く連続撮影しても止まったことはありませんが、録画の状態、レンズ曇り等の確認の為に、だいたい30~60分毎に録画し直しています。(レンズヒーターを付けていてもレンズが曇ってしまったり、レンズの前玉に虫がついている事もあるので・・・)
予備のバッテリーとUSB給電
USB給電をしながらだと、バッテリーひとつで3-4時間は持ちます。(気温により変動します)13000mAhのモバイルバッテリーを使用していますが、USB給電のみに使用した場合、6時間は余裕で持つ印象です。
結露対策のレンズヒーター
季節問わず、レンズヒーターを使用した方が無難です。夏でも冬でも結露は発生します。曇った状態で撮影を続けると、無駄になってしまうため注意。
参考記事:レンズの結露による曇り防止に。レンズヒーターの必要性
また、SONY α7SIIIの使用温度範囲は0 – 40°C。0℃を下回ったからと言ってすぐ使えなくなるわけではありませんが、以前-4℃強風の中で1時間ほど連続撮影していると、モニターがセピア色になり、操作や録画が出来なくなった事があります(車に入れて十数分程で復活)。
流れ星の切り出し作業(編集)
撮影した映像から流れ星を切り出す作業は手動です。4~16倍速で再生し、流れ星が映った個所だけを切り出していきます。なかなか根気のいる作業です。(一応、自動で検出するプログラムもあるみたいですが)
個人的に8倍速あたりまでが流れ星を目視確認しやすいですが、一瞬見えるだけなので、かなりの集中力が必要。目が疲れている時などは2、4倍速で見たります。(流れ星が写りすぎている時はあえて16倍速で、大きな流れ星だけを狙ったりする事もあります)
倍速再生時にはスムーズに再生出来ているか、注意する必要があります。スムーズに再生出来ていないと、映像が飛んで流れ星を見落とす可能性があります。
また高感度撮影の為、ノイズはそこそこ発生します。気になる場合はノイズ処理が必要なります。
参考記事:星空動画のノイズ処理にNeat Video v5 Proを試してみた(レビュー)
あとがき
動画の場合、高感度で撮影している為、流れ星は写真以上に映るので、撮影し甲斐があります。編集は大変ですが・・・。ぜひチャレンジしてみてください。
過去に撮影した映像はYouTubeチャンネル「星を撮りに行く」の再生リスト「流星群・流れ星」にまとめていますので、良かったらご覧くださいね。(チャンネル登録頂けると励みになります!)
コメントを残す