SLIKのポタ赤、ASTRA (アストラ)ECH-630を使ってみた(レビュー)

SLIKのポタ赤、ASTRA (アストラ)ECH-630を使ってみた(レビュー)

SLIKのポータブル赤道儀、SLIK ASTRA (アストラ) ECH-630を使ってみたので購入理由や使用感などを書いていきたいと思います。


ちなみに、個人的には初めての赤道儀となります。

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ポータブル赤道儀 導入の目的

今回、ポータブル赤道儀を導入しようと思ったのは、動画での流星撮影する為に導入しました。追尾しておけば星の位置が変わらないので長時間放置で撮影出来るので。

SLIK ECH-630を選定した理由

SLIK ASTRA ECH-630

SLIK ECH-630を選定した理由は形状もシンプルで、積載重量5kgだからです。


ビクセンのポラリエ、ケンコーのスカイメモSとも悩みましたが、以下の点で見送り。

・ポラリエは積載重量が2kgで自分の使用機材ではギリギリ又は超えてしまう為。
・別パーツで強化出来ますが、コスト増とパーツ点数が増える為。(出来るだけシンプルに使いたい)

・スカイメモSは積載重量5kgで良いけれど、品切れになって納期に時間が掛かった。
・自由雲台を取りつけるネジがU3/8インチという事で、持っている自由雲台に適合しなかった。別売りパーツで対応出来るみたいだけど・・・。

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ECH-630の外観等

ほぼレンズ一本分なのでバッグに入れて持ち歩けます。重量は630g。ズシリとはしますが、そこまで重くはありません。変な凹凸も無く、四角くスッキリとしたデザインが良いです。(下の画像は底にアルカスイス互換のプレートをつけています。本来付属していません。雲台に取り付けるネジ穴はU1/4,U3/8のどちらにも対応(U1/4アダプターが付属しています))

スリック アストラ

ゴールドのネジを緩めるとテーブルが外れます。テーブルの裏には雲台を取り付ける為のネジのつまみ。

スリック アストラ テーブル

SLIK バル自由雲台を取り付けてみました。SLIK同士で相性が良いのか、しっかり締め付けておけば緩む感じは無さそうです。(実際2kg弱のカメラを載せても動く事はありませんでした)

赤道儀 バル自由雲台

横面にはUSB給電用のソケットとメインスイッチ。全体的にシンプルなのも気に入ったポイントです。

電池駆動(単三4本)ですが、安定性の観点からUSB給電を推奨されています。(ソケットはマイクロUSB)

ECH-630 usb給電

ECH-630の使用方法

こんな感じで組み立ててみました。
各部分はアルカスイス互換のプレート等を噛まして、組み立てやすくしています。微動雲台は使わず、3WAY雲台を使用。雲台に直接取り付けると曲軸合わせの穴が覗きにくかったので、スライドプレートで少し位置をズラして装着しています。

ECH-630 使用例

起動させる方法も簡単で、横面にあるメインスイッチをオンにして正面の液晶を見ながら「STAR」「NORTH」を選ぶだけ。恒星(STAR)以外にも、月、太陽時、星景(0.5倍速)や南天、その他タイムラプスモードがありますが今回は割愛。

ECH-630の極軸合わせは慣れが必要

赤道儀は極軸合わせをしなければ正確に星を追尾出来ません。

ECH-630での極軸の合わせ方は3段階あります。

① 上部の指標溝で北極星の方向に合わせる。
② 左側の大きな穴の中心に北極星を入れる。
③ 右側の小さな穴の中心に北極星を入れる。

ech-630 極軸合わせ


これがとても難しい。

何故かというと暗闇では指標溝も穴も見えません。ライトを使えば位置は確認できますが、北極星が見え辛くなったり、他の撮影者への迷惑にもなったり・・・。また、穴の位置が分かったとしても真っすぐ覗く事が困難です。

極軸合わせのコツ

何度か練習した程度ですが、何となくコツを掴んだので紹介します。他にもっといい方法もあるかも知れませんが。

・指標溝、穴は片目で20~30cm程離れた所から覗く。
・減光したライトを使いながら指標溝の位置、または穴の中心をしっかり覗ける位置を確認しながら合わせる。
・指標溝、または穴ばかり覗かず、実際に北極星と穴を交互に見ると合わせやすいです。
・最後、右側の小さい穴を覗きながら合わせるのは困難なので、大きい穴で見ながら合わせていくのがやり易い。


私の場合、3way雲台で何のストレスも無く小さい穴まで北極星を合わす事が出来たので、微動雲台は不要と思っています。極軸望遠鏡等、もっと慎重な合わせ方をする場合は必須になると思います。

とはいえ、3way雲台でも種類によっては合わせづらいモノもあるかも知れません。明るい時間帯に狙い通りに動かせるか試してみると良いかも知れません。

ポーラーメータを使えばより簡単

ビクセンのポーラメータを使ってセッティングすれば、だいたい穴に北極星が入っています。なのでポーラメータを使用した方がセッティングの手間が省け便利です。

slik ASTRA ECH-630 ポーラメータ

ちなみに、ビクセンのポーラーメータはホットシューに取り付けて使いますがECH-630はホットシューはついていません。なので上記写真の様に両面テープで軽く接着し手で支えながら使用しています。ポーラメータを使うのは極軸を合わせる時だけなので、これで十分と考えています。取り付ける際は、上記写真の赤ラインの様に、赤道儀の軸とポーラメータの底辺が水平になる様に取り付ける必要があります。

参考記事:Vixen ポーラメータの使い方

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ECH-630の追尾精度

小さい穴に北極星を入れた状態で追尾撮影してみました。
焦点距離85mm、SS30sec、ISO1600 開放F1.4 ソフトフィルターあり。

ECH-630 精度
ECH-630 精度

拡大してみても、特に星が動いているようには見えず、きっちり追尾出来ています。85mmだと30秒程度ならまずは問題ないかな?広角だと更に影響は少ないと思います。

ちなみに、同じ撮影設定で赤道儀の電源をOFFにして撮影してみました。

ASTRA 精度 比較
ASTRA 精度 比較

完全に星が伸びていますね。

動画でも使用してみました

本来の目的である、流星動画でも使用してみました。合計1時間くらい追尾して星空を撮影、流れ星部分を切り出して位置合わせし、比較明合成しています。

星空の動画撮影に関してはこちらの記事をご参考。

参考記事:星空動画、始めました(Sony a7SⅢ)使用機材など【星景動画】

追尾のズレに関しては、24mmレンズで連続30分くらい撮影で、8分頃からややズレが出て来たけど位置合わせする程でもなく、13分頃からは少し位置合わせした方が良いか、という感じでした。

下記はそれぞれ、動画の冒頭と8分後、13分後を比較明合成したもの。オリオン座のベテルギウス辺りを切り出しています。

スリック ポータブル赤道儀 精度

85mmではだいたい5分~7分くらいで位置合わせした方が良いかな、という感じ。(シリウス周辺を拡大して切り出し)

スリック ポタ赤 精度

更に精度を出すには極軸望遠鏡を利用すると良いかも知れませんが、メインで使うのが動画なのでそこまで精度は必要ないと思うし、比較名合成しなければまず気にならないようなズレなので、一先ずこのくらいで十分かな、と思っています。

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まとめ

SLIKのポータブル赤道儀、SLIK ASTRA (アストラ) ECH-630 を紹介しました。

シンプルなデザイン、操作。コンパクトで持ち運びも便利。極軸合わせが少し慣れが必要ですが、期待通りの性能で満足しています。とりあえず、撮影しようとしていたものが撮影出来たのが良かったです。

積載重量も5kgなのでちょっとした望遠レンズくらいなら問題なさそうなので、月の追尾に使うにも良さそう。今後、色々な撮影が楽しみになってきました。

私が一緒に使用している自由雲台です。特に不満も無く使えています。

微動雲台はあった方が良いとは思いますが、穴から北極星を覗くだけなら必要ないと思ってます。極軸望遠鏡を使う時は必須になりそうです。

ポーラーメータはなくても極軸合わせが出来ますが、あるとかなり楽にセッティング出来るので出来たら持っておきたい道具です。北極星が分からない時にも便利です。赤道儀によっては取り付けに少し工夫が必要。

参考記事:Vixen ポーラメータの使い方