SIGMA 14mm F1.4 DG DN Artを星空撮影に使用してみた感想(レビュー)

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Artを星空撮影に使用してみた感想(レビュー)

2023/6/8 発表。
2023/6/23 発売。

星空を撮影する者としては、まさに夢の様な超広角レンズ、SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art。

早速、実際に星空撮影で使用してみたので、色々書いていきます。

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SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art、開封

外箱はいつものシンプルなデザイン。SIGMA 20mm F1.4 DG DN Artの外箱より一回り大きいサイズ。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art 化粧箱

中身。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art 付属品

レンズ本体はソフトケースに入っていました。付属品としては三脚座を外した時のレンズに取り付けるカバー、ストラップが二本?等、三脚座の滑り止めビス、リアフィルターの切り抜き型等。

SONY a7SIIIに装着。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art SONY α7SIII

持った感じは「思っていたより軽い」と感じましたが、でも重いです。

サイズや重さは以下の通り。

一眼レフ用のSIGMA 14mm F1.8 DG HSM Artとほぼ同等のサイズ感。そして、対抗モデルのSONY FE14mm F1.8 GMはかなり小型軽量ですね。

ちなみにF1.4はF1.8と比べ1.65倍明るく撮影出来るとのこと。
(重さはGMレンズの2.5倍ですが・・・)

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Artのサジタルコマフレア

カメラは全てSONY α7SIIIを使用しています。

開放F1.4で撮影した写真です。かなりシャープな印象です。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art コマ収差

上記の写真の隅、中央を拡大したものです。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art サジタルコマフレア F1.4

開放F1.4では、わずかにサジタルコマフレアは見られますが、よく抑えられています。(SIGMA 14mm F1.8 DG HSM Artと比べると大きく改善しています)拡大しなければ分からないレベルです。

絞り値別のサジタルコマフレア比較です。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art サジタルコマフレア 絞り別

F2.8まで絞れば大きく改善しています。

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SIGMA 14mm F1.4 DG DN Artの周辺減光

周辺減光です。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art 周辺減光 絞り別

レンズ補正を切ると周辺減光は強い。レンズ補正ありのF1.4でもそこそこ減光がみられますが、F1.8から改善している様に見えます。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Artで撮影した星景写真、動画作例

発売日の夜、ワクワクが収まらず早速使用したったのですが、かなり厳しい雲予報。しかし気持ちを抑えられず、イチかバチか山奥に出かけてみました。

結果としては、雲が多いものの、何とか撮影できました。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art 天の川 作例
SS10sec、ISO3200、F1.4

街灯もない真っ暗な山奥。F1.4の明るさが活きます。また雲の動きが激しく、いつ曇ってもおかしく無い状況、出来るだけSS(シャッタースピード)は稼ぎたいものです。全てSS10secでの撮影ですが、F1.8で同じ明るさに撮影しようとすると15sec。5secの差ですが、目まぐるしく変わる空模様、今回の様な状況だとこの差は大きく思います。

F1.4による星と天の川のボケ。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art ボケ 星
SS10sec、ISO3200、F1.4

ソフトフィルターを外しての撮影。シャープに星空を写してくれます。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art 星空 作例
SS10sec、ISO3200、F1.4

縦の切り替えも、三脚座をグルっとするだけで一瞬。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art milkyway review
SS10sec、ISO3200、F1.4

今回撮影した動画です。撮影設定はSS1/25sec、ISO409600、F1.4。ほぼ全てのシーンをSIGMA 14mm F1.4 DG DN Artで撮影しています。(映像はもう少し明るく出来ますが、肉眼で見た印象に近づけたい為、少し暗めにしています)

こんな感じで星空・天の川、流星群等を動画撮影しています。
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実際に星空撮影で使用した感想

実際に星空撮影で使用してみたので、感想を書いていきます。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art review

確かにF1.4の写り

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Artでは、まず最初に動画で天の川を撮影しました。

モニターに映った映像を見て、「ああ、確かにF1.4の写りだ」と感動しました。

「F1.4なんだから、そりゃそうだろ」って話なんですが、これは今まで14mm F1.8しかなかったので、「14mmでは暗くしか写せない」というのが私の中では常識となっていました。しかし、モニターにはハッキリと天の川が映っているのを見て驚き、純粋に出た言葉がそれだったのです。

・・・正直、半信半疑でした。14mmでF1.4というのが想像できなかったので・・・でも、本当にF1.4の写りで感動。

三脚座が便利。だが・・・

SIGMA 14mm F1.8 DG HSM Artを使用していた時から「なぜ三脚座がないのだ?」と疑問を持つほど、重いレンズでした。今回は三脚座が標準で装備されている(取り外しもできる)のは有難い。しかもアルカスイス対応。

三脚座があった方が重心の偏りが抑えられ、安定します。私はよくローアングル撮影にミニ三脚も併用しますが、バランスが崩れにくいので安心して使えました。

参考記事:動画撮影のサブ三脚にManfrotto PIXI EVO を購入。(レビュー)

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art 三脚座

当たり前ですが、三脚座を使っている状態でレンズ交換は少し面倒。また三脚座の溝が縦になっているので、カメラ側と溝の方向が違う場合は雲台の向きを変える必要も出てきます。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art 三脚座

小型のクランプ(底がアルカスイス対応のプレートになっているタイプ。使用しているのはMENGS DC-38Q)を嚙ますことで、溝の方向をカメラ側と合わせました。使用感としては、少し邪魔ですが悪くない印象。クランプなので工具無しですぐ外せますし。

SONY FE14mm F1.8 GMとの置き換えについて

今までSONY FE14mm F1.8 GMを使用しており、この際手放すことも考えました。
しかしSIGMA 14mm F1.4 DG DN Artの重さを考えると、単純に置き換え出来ない様に感じました。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art SONY FE 14mm F1.8 GM 比較
SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art スペック

真っ暗な夜空を動画撮影するならF1.4が必要、しかし月明かりや夜景ならF1.8でも十分。昼間の撮影ならなおさらですね。

そして電動スタビライザーでの運用を考えた場合、SIGMA 14mm F1.4 DG DN Artも使えなくはないですが、重すぎて安定しない可能性あり※。

※以前、SIGMA 14mm F1.8 DG HSM ArtをMOZA AIRCROSS2で使用していた時、重さが要因で稀に正常動作しない事あり・・・

なので、単純に置き換えは出来ないと考え、暫くは両方を持っておこうと思います。

参考記事:SONY FE 14mm F1.8 GMを実際に星空撮影に使ってみた(SEL14F18GM)レビュー

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SONY FE14mm F1.8 GMとの写真、動画の比較

写真での比較

SONY FE14mm F1.8 GMと比較しました。JPEG撮って出しです。

上)SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art(SS10sec、ISO3200 F1.4)
下)SONY FE14mm F1.8 GM  (SS10sec、ISO3200 F1.8)

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art SONY FE 14mm F1.8 GM 比較

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Artの方が若干広く撮影出来ています。また、SONY FE14mm F1.8 GMはF1.8での撮影の為、その分暗くなっています。

追記)2023/6/28 改めて撮影しました。JPEG撮って出しです。

動画での比較

動画で撮影した映像を比較。撮影設定はSS1/25sec、ISO409600、F値開放(F1.4,1.8)
(S-LOG3で撮影、同じグレーディングを施しています)

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art SONY FE 14mm F1.8 GM 比較

これが、F1.8では星空の動画撮影が厳しい理由。まぁ、とはいえ動画なのでどちらも暗いですが、F1.4では何となく天の川が見えるけど、F1.8ではほぼ写っていません。たった2/3段の差ですが、動画では大きな差に感じます。

※動画でもSSを更に落とせば天の川はもっとハッキリ写せます・・・コマ落ちした映像なりますが。

最後に

SONY a7SIIIが発売されてから始めた星空の動画撮影。もう2年半以上は撮影を続けています。その時から14mmはF1.8しかなく、それが大きなネックでした。

「14mmは暗く、星空の動画撮影では使えない」

私の中ではそれが常識となっていました。
しかし、今回SIGMA 14mm F1.4 DG DN Artはその常識を打ち破ってくれました。

もちろんF1.4の登場はずっと期待していましたが、こんな早く、こんな唐突に発売されるとは思っておらず、驚きでした。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art milkyway

やはり地上と星空を一緒に撮影するなら、14mm超広角は使いやすい。

特に動画の場合はアスペクト比16:9が主流(写真より上下の幅が狭くなる)の為、地上と星空を一緒に撮影しようとすると超広角がより有り難く感じます。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art starry night

ただし、やはり重さ、大きさだけはネック。星空撮影を追求するならSIGMA 14mm F1.4 DG DN Artで間違いありませんが、日常使いを含めて考えるとSONY FE14mm F1.8 GMの方が圧倒的に使いやすい。

SIGMA 14mm F1.4 DG DN Art SONY FE 14mm F1.8 GM スペック

値段もほぼ同額。これからどちらかを選ぶとなると、悩ましい選択になりそうですね。

ソニーストア

参考記事:SONY FE 14mm F1.8 GMを実際に星空撮影に使ってみた(SEL14F18GM)レビュー

ソニーストア

2022年に発売されたSIGMA 20mm F1.4 DG DN Artも同様に素晴らしいレンズですね。

参考記事:SIGMA 20mm F1.4 DG DN Artを星空撮影に使っていて思うこと(レビュー)